赤ちゃんのスキンケア

乳痂(クレードルキャップ):原因・治療・医師を受診すべき時

乳痂(クレードルキャップ)は一般的で、多くは無害です。原因と発症の仕組み、家庭でのケアの手順、してはいけないこと、頭皮以外に広がった場合や医師に相談すべき時を解説します。

監修: Whispie 編集チーム エビデンスに基づく育児リサーチ

公開日:

この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。

出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本小児科学会をご確認ください。

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乳痂とは何か

乳痂(にゅうか)は日本語で「産かさ」とも呼ばれ、医学的には「乳児脂漏性皮膚炎」です。赤ちゃんの頭皮に黄色〜白色のうろこ状・かさぶた状の皮膚が現れる非常に一般的な状態で、新生児の約70%に見られると言われています。

見た目は心配になりますが、感染症でも皮膚アレルギーでもありません。赤ちゃんは痒みも痛みも感じず、清潔にしていないわけでもありません。ほとんどの場合、生後6〜12ヶ月頃に自然に改善する一時的な状態です。

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原因と発症メカニズム

乳痂の主な原因は、母親から受け継いだホルモン(エストロゲン)が出産後もしばらく赤ちゃんの体内に残り、皮脂腺を過剰に刺激することです。これにより皮脂が過剰に分泌され、古い皮膚細胞が頭皮に蓄積してうろこ状になります。

また、皮膚に常在する酵母菌の一種「マラセチア」が過剰に増殖することも関与していると考えられています。これは清潔さとは無関係で、親の遺伝的要因や皮膚のマイクロバイオームの特徴が影響します。

家庭でのケア:ステップバイステップ

乳痂の標準的な家庭ケアは、皮膚を柔らかくしてから優しく除去するプロセスです:

  1. オイルを塗る: ミネラルオイル、ベビーオイル、またはオリーブオイルを少量指に取り、頭皮に優しく塗り込みます。かさぶたが柔らかくなるよう15〜20分置きます。
  2. 優しくマッサージ: 柔らかい赤ちゃん用ブラシまたは指を使い、円を描くように優しくマッサージします。剥がれてくる部分は自然に取れますが、無理に剥がさないこと。
  3. シャンプーで洗い流す: 赤ちゃん用の低刺激シャンプーで丁寧に洗い流します。大人用シャンプーや薬用シャンプーは使用しないでください。
  4. 繰り返す: 週2〜3回このプロセスを繰り返します。一度で全てが取れなくても問題ありません。

避けるべきこと:無理に剥がす、爪でかく、大人用の薬用シャンプーを使う、過度に頻繁に洗う(逆効果)、熱い湯で洗う。

してはいけないこと

乳痂の対応では、早く治したいという気持ちから良かれと思ってやったことが、かえって悪化させたりトラブルを招いたりすることがあります。次の点に注意してください。

乳痂は焦って一気に取り除こうとしなくても、ほとんどの場合いずれ自然に改善します。上記のような行動を避け、オイルと優しいブラッシング、シャンプーの基本ケアを地道に続けることが、結果的に最も安全で確実な方法です。

頭皮以外に広がった場合

脂漏性皮膚炎は頭皮だけでなく、眉毛、耳の後ろのしわ、鼻の周り、首のしわ、脇の下、おむつが当たる部分など、皮脂腺が多い他の部位にも広がることがあります。しわの部分に現れると、頭皮のかさぶたよりも赤みが強く、炎症を伴っているように見えることが少なくありません。頭皮以外の複数の部位に広がった状態は、汎発性の乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれます。

頭皮以外に広がった場合でも、基本的なケアの考え方は同じです。まずオイルで柔らかくしてから優しく洗い流し、こすりすぎないことが大切です。ただし顔や首のしわなど皮膚が薄くデリケートな部位では、頭皮よりもさらに優しく扱う必要があります。広がった範囲が広い場合や、しわの部分がジュクジュクして見える場合は、自己判断でケアを続けるより先に医師に相談したほうが安心です。

しわの部分に広がったり、赤く炎症を起こしているように見える場合は、湿疹(アトピー性皮膚炎)との見分けが重要になります。脂漏性皮膚炎はかゆみを伴わず、皮脂の多い部位に現れやすいのに対し、湿疹はかゆみを伴い、赤ちゃんが引っかいたり不快そうな様子を見せたりし、頬や関節の内側、体幹にも広がりやすいという違いがあります。顔にまで広がったからといって診断が変わるわけではありませんが、治療のアプローチが少し変わることがあります。見た目だけで判断が難しいときは、自己判断で市販薬を試すよりも先に、医師に一度見てもらうほうが確実です。赤ちゃんの肌トラブル全般については、乳児湿疹ガイドもあわせてご覧ください。

医師に相談すべき時

ほとんどの乳痂は自宅でのケアだけで問題なく経過しますが、次のようなサインが見られる場合は、自己判断でケアを続けるのではなく、小児科医または皮膚科医に相談することをおすすめします。

小児科医は診断を確定させたうえで、必要であれば低刺激の抗真菌薬や弱いステロイド外用薬など、より頑固なケースに対応する治療を処方することがあります。新生児のスキンケア全般については、赤ちゃんのスキンケアガイドや毎日のお世話ガイドも基本のケアの参考にしてください。

乳痂そのものは成長とともに自然に落ち着いていく状態なので、多くの場合は過度に心配する必要はありません。それでも上記のようなサインがあれば早めに相談し、赤ちゃんの肌の状態に合わせたケアを一緒に確認してもらうと安心です。

再発を防ぐには

乳痂は一度改善しても、特に湿疹や脂漏性皮膚炎になりやすい体質の赤ちゃんでは再発することがあります。皮脂腺の活動が落ち着くまでの間は、良くなったり気になる状態が戻ったりを繰り返すことも珍しくありません。再発を最小限に抑えるためのポイントは次のとおりです。

多くの場合、赤ちゃんの皮脂腺の働きが落ち着く生後6〜12ヶ月ごろを境に再発の頻度は自然に減っていきます。それまでの間は、無理に完全に取り除こうとせず、上記のケアを気長に続けることが結果的に一番の近道になります。

乳痂と他の皮膚疾患の見分け方

乳痂(脂漏性皮膚炎)

黄色〜白色のうろこ状・油っぽいかさぶた。主に頭皮。かゆみなし。生後数週間で発症、6〜12ヶ月で改善。

乳児湿疹(アトピー性皮膚炎)

赤い乾燥した斑点。頬、肘の内側、膝の裏などに多い。かゆみあり(赤ちゃんが引っかく)。再発を繰り返す。

粟粒疹(ミリア)

小さな白い点(汗腺が詰まったもの)。主に鼻・頬・額。自然に消える。

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よくある質問

乳痂(クレードルキャップ)とは何ですか?

乳痂は「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)」の乳児型で、頭皮に黄色または白色のうろこ状・かさぶた状の皮膚が現れる状態です。感染症でも皮膚アレルギーでもなく、赤ちゃんの皮脂腺が過剰に活動することが原因です。生後3週間〜生後3ヶ月の赤ちゃんに最もよく見られますが、12ヶ月頃まで続く場合もあります。

乳痂の原因は何ですか?

正確な原因は完全には解明されていませんが、主に母親から受け継いだホルモンが皮脂腺を刺激し、過剰な皮脂分泌を引き起こすと考えられています。皮膚の酵母菌(マラセチア)の増殖が関与しているとも言われています。感染症ではないため、人から人への感染はありません。

乳痂は痛みますか?かゆいですか?

通常、乳痂は赤ちゃんにとって不快感を引き起こしません。かゆみも痛みも伴わないため、赤ちゃんが引っかいたり頭をこすりつけたりする場合は、乳痂ではなく他の皮膚疾患(湿疹など)の可能性があります。ただし広範囲に及ぶ場合や、頬・眉毛・耳の周りにも広がる場合は医師に相談しましょう。

家でどうケアすれば良いですか?

ベビーオイル(ミネラルオイルまたはオリーブオイル)を少量頭皮に塗り、15〜20分置いてから柔らかい赤ちゃん用ブラシや指で優しくマッサージします。その後、赤ちゃん用シャンプーで洗い流します。かさぶたが柔らかくなって少しずつ取れてきます。無理に剥がさないことが大切です。

無理にかさぶたを剥がしてはいけないのはなぜですか?

無理に剥がすと頭皮を傷つけ、感染症のリスクを高めます。また出血することもあります。自然に柔らかくして取れるのを待つことが安全で、必要以上に急ぐ必要はありません。

大人用のフケ用シャンプー(セレン含有)は赤ちゃんに使っても良いですか?

いいえ、絶対に使わないでください。大人用の薬用シャンプーは赤ちゃんの皮膚には強すぎて、かえって肌荒れや刺激を引き起こす可能性があります。必ず赤ちゃん用の低刺激シャンプーを使ってください。

乳痂は顔や体に広がることがありますか?

はい、脂漏性皮膚炎は頭皮以外にも眉毛、耳の後ろ、鼻の周り、首のしわ、脇の下、おむつ部位などに広がることがあります。これらの部位にも似たようなかさぶた状の皮膚が現れた場合は、小児科医に相談することをお勧めします。

乳痂はいつ自然に治りますか?

ほとんどの場合、生後6〜12ヶ月頃に自然に改善します。定期的なケア(週に数回のオイルマッサージと洗髪)で早期に改善することが多いです。まれに2〜3歳まで続く場合もあります。

医師を受診すべきサインは何ですか?

以下の場合は小児科医に相談してください:頭皮が赤くなっている・腫れている・ひび割れている、膿が出ている、顔・体にも広がっている、赤ちゃんが明らかに不快そうにしている、家庭ケアで2〜4週間改善が見られない場合です。

乳痂は人にうつりますか?

いいえ、乳痂は感染性ではなく、赤ちゃん同士や赤ちゃんから大人にうつることはありません。感染症、不衛生な環境、アレルギーが原因で起こるものではなく、皮脂腺の働きに関連する純粋に皮膚科的な状態であり、どのような形でも人から人へ伝わることはありません。

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