妊娠
妊娠37週
妊娠37週は「早期正期産」に分類されます。赤ちゃんは約48〜49cm・約2,800〜2,900g。肺サーファクタント産生、胎動の変化、前駆陣痛と本陣痛の見分け方、GBSスクリーニング、入院セット準備まで厚生労働省・日本産科婦人科学会の情報をもとに解説します。
公開日:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。
出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。
今週の概要
- 妊娠期間:妊娠後期(早期正期産)
- 赤ちゃんの大きさ:頭からかかとまで約48〜49cm
- 体重:約2,800〜2,900g
- 分類:早期正期産(Early Term)— 正期産は39週0日から
妊娠37週は大きな節目です。赤ちゃんは「早期正期産」の基準に達し、ほぼすべての臓器が機能的に成熟しています。ただし、日本産科婦人科学会およびACOGは39週以降を「正期産(full term)」と定義しており、最後の1〜2週間も脳・肺・体重の観点から重要です。多くのお母さんがいつ陣痛が来るか気になり始める週でもあります。焦らず、体の準備を整えましょう。
日本では産前産休は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から取得できます(労働基準法第65条)。すでに産休に入っているか、もうすぐ入る時期です。里帰り出産を予定している方は、新幹線や飛行機の移動は早めに済ませておきましょう。
赤ちゃんの発達
37週になると、ほぼすべてのシステムが機能的に成熟しています。
肺の成熟
肺は肺胞が虚脱しないように保護するサーファクタント(界面活性物質)を産生しています。37週の赤ちゃんのほとんどは自力で呼吸できますが、39週以降と比べるとごく一部で短期的な呼吸サポートが必要になることがあります。この最後の数週間でサーファクタント産生量がさらに増加します。
体重増加と体脂肪
週に200〜250gのペースで体重が増え続けています。皮下脂肪がたっぷりついてきて、赤ちゃんらしいふっくらした外見になってきます。この脂肪は出生後の体温調節に不可欠です。産まれたばかりの赤ちゃんは体温を維持する能力が大人より低いため、分娩直後のスキンシップ(カンガルーケア)が特に効果的です。
- 脳:脳の成長は急速で、35〜40週の間に脳の重量は約3分の1増加します。大脳皮質のひだ(溝)が形成され、高次認知機能の基盤が作られています。
- 消化管:腸内にはメコニウム(胎便)が蓄積されています。胎便は羊水・細胞・産毛(ラヌーゴ)・胎脂などが混じった濃い緑黒色の物質で、生後初めての排便となります。
- 皮膚:ラヌーゴのほとんどが抜け落ち、胎脂(白いクリーム状の保護膜)も薄くなっています。皮膚はピンクがかってふっくらしてきます。
- 聴覚・視覚:聴覚はよく発達しており、お母さんの声を認識しています。光と影を感知でき、強い光をお腹に当てると反応します。
- 胎位:ほとんどの赤ちゃんは頭位(頭を下にした姿勢)になっています。37週時点でまだ骨盤位(逆子)の場合は、担当医から外回転術(ECV)または帝王切開の計画について説明があります。
ママの体と症状
体は分娩に向けて本格的な準備を始めています。以下のような変化を感じることがあります。
息切れの改善と骨盤圧迫
児頭下降(入門)が起こると、横隔膜への圧迫が和らいで呼吸が楽になります。その代わり、膀胱への圧迫が強まり頻尿が増悪します。また骨盤内の神経が刺激されて鋭い電撃痛(「ビリビリ感」)が走ることがあります。
浮腫み(むくみ)
手・足首・足の甲のむくみは妊娠後期に非常によく見られます。夕方になると悪化しがちです。足を高くして休む・左側臥位になる・適度な水分補給が助けになります。ただし、顔や手の突然の強いむくみ・激しい頭痛・視力の変化が伴う場合は、子癇前症の可能性があるため直ちに産婦人科に連絡してください。
前駆陣痛(ブラクストンヒックス収縮)
前駆陣痛の回数と強さが増してきます。不規則で痛みはほとんどなく、体位変換や水分補給で和らぐことが特徴です。規則的な収縮が5分間隔で1時間以上続く場合は本陣痛の可能性があります。
- 頻尿・便秘:膀胱と腸への圧迫が最大になっています。
- 軟便・吐き気:分娩の数日前に消化管が変化する方もいます(プロスタグランジンの影響)。
- 不眠・鮮明な夢:ホルモン変化・不快感・期待と不安が睡眠を妨げます。
- 巣作り本能(nesting):突然エネルギーが湧いて部屋を整理したくなるのは非常によく見られます。疲れを感じたら無理をしないでください。
栄養
37週の栄養の焦点は、赤ちゃんの最終的な成長と分娩・産褥期の回復のために体を整えることです。
- 鉄分:赤身の肉・レンズ豆・ほうれん草・強化シリアル。分娩時の出血に備えて鉄の貯蔵量を高めておきましょう。ビタミンCと一緒に摂ると吸収が高まります。
- カルシウム・ビタミンD:乳製品・豆腐・小魚(ししゃも等)・小松菜。骨の石灰化が仕上げに入っています。
- タンパク質:1日75〜100gを目安に。鶏肉・卵・豆腐・納豆など。組織の修復と産後の回復に欠かせません。
- DHA・EPA:鮭・いわし(低水銀の魚)。今まさに脳の急速な発達が進んでいます。
- 水分:1日2〜2.5リットルを目安に。脱水は前駆陣痛を悪化させることがあります。麦茶・水・薄いハーブティーがおすすめです。
- 食物繊維:玄米・野菜・果物で便秘を予防しましょう。
引き続き避けるもの:生の魚介類(ただし加熱したものは問題ありません)・生肉・未殺菌乳製品・高水銀魚(本マグロ・メカジキ・キンメダイは量に注意)・アルコール・カフェインの過剰摂取(1日200mg未満を目安に)。
運動(妊娠後期向け)
穏やかな運動は血行を促進し、むくみを軽減し、赤ちゃんが最適な分娩体位に入るのを助けます。
- ウォーキング:無理のない距離で毎日歩くことが骨盤を開き、体が準備できていれば陣痛のきっかけになることもあります。
- マタニティヨガ・骨盤底筋体操:キャット&カウ、サポートありのディープスクワット、バタフライポーズは陣痛準備に役立ちます。骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は産後回復を助けます。
- バースボール:バランスボールに腰を下ろしてゆっくり揺れると、骨盤内の赤ちゃんの体位が整いやすくなります。椅子より楽と感じる方も多いです。
- 水中ウォーキング・マタニティスイミング:関節の負担が軽減され、むくみにも効果的です。
避けること:高強度の運動、長時間の仰向け姿勢、転倒リスクのある活動(スキー・乗馬・コンタクトスポーツ)、過熱(体温の過度な上昇)。何かおかしいと感じたらすぐに休んでください。
メンタルヘルスと出産不安
37週になると、多くの方が期待・不安・焦り・恐れを同時に感じます。出産が現実のものとして迫り、ホルモンがすべての感情を増幅させます。これは非常に正常な反応です。
- パートナーと率直に話す:出産への希望・不安・産後の役割分担について話し合っておきましょう。
- 怖い話を遮断する:SNSで出産の失敗談ばかり見ていると不安が高まります。信頼できる情報源に限定しましょう。
- リラクゼーション技法を練習する:深呼吸・イメージトレーニング・簡単な瞑想。陣痛中にも役立ちます。
- できる限り休息を取る:左側臥位で横になり、抱き枕を活用してください。昼寝も積極的に取りましょう。
- 専門的なサポートを求める:産前うつ・産前不安は適切な支援で改善できます。気持ちが沈んだり、強い恐怖感が続く場合は、担当の産婦人科医・助産師に相談してください。
医師・助産師に相談するタイミング
以下の症状があれば、すぐに産婦人科または産科病棟に連絡するか受診してください。
- 胎動の減少(活動時間帯に2時間で10回未満)
- 大量の性器出血(スポッティングを超えるもの)
- 水様の液体が突然大量に出る・または持続的に少量ずつ漏れる(破水の疑い)
- 5分間隔で1時間以上続く規則的な収縮
- 激しい頭痛・視力の変化(ぼやけ・閃輝暗点)・右上腹部の痛み(子癇前症の可能性)
- 顔・手の突然の強いむくみ
- 38°C以上の発熱
- 排尿時の灼熱感・骨盤の強い痛み(尿路感染症の疑い)
今週の検査・妊婦健診
妊娠36週以降は毎週の妊婦健診が標準です(日本産科婦人科学会ガイドライン)。37週の健診では以下が確認されます。
- 血圧・体重・尿検査(尿たんぱく・尿糖)
- 子宮底長の計測(赤ちゃんの発育確認)
- 胎児心音モニタリング
- GBSスクリーニング(B群溶連菌検査):妊娠36週前後に腟・肛門周囲のスワブ検査。陽性の場合は分娩中に点滴抗菌薬を投与します。
- 子宮口の開き・展退(内診):担当医の判断で行われます。ただし、開き具合は陣痛開始時期の正確な予測にはなりません。
- 分娩計画・無痛分娩の選択・陣痛兆候の確認
- ノンストレステスト(NST):リスク因子(妊娠糖尿病・高血圧・胎動減少など)がある場合に追加されます。
母子健康手帳に今回の健診結果を記入してもらうことを忘れずに。
今週のヒント
- チャイルドシートを取り付けて確認する。多くの産院では退院時にチャイルドシートの設置確認を求めます。ベビー用品店や自動車販売店でも取り付け確認サービスを行っている場合があります。
- 入院セット(入院バッグ)を玄関近くに置く。母子健康手帳・保険証・診察券は必ず入れておきましょう。
- 産院に事前登録を済ませる。陣痛が始まってからの手続きを最小限にできます。
- 冷凍食品・保存食を準備する。退院後の数週間、食事の準備が楽になります。おにぎりの具・カレー・汁物などを冷凍しておくと便利です。
- サポート体制を確認する。陣痛が始まったとき誰が病院まで送ってくれるか?上の子・ペットの預け先は?里帰り出産の方は最終調整を。
次への準備
これからの2〜3週間、いつでも陣痛が始まる可能性があります。以下の準備を整えておきましょう。
- 出産準備:バースプランを担当医・助産師と共有する。無痛分娩・立ち合い出産・カンガルーケアなど希望を整理しておく。
- 入院セット:母子健康手帳・保険証・印鑑・退院時の服(ご自身と赤ちゃん分)・授乳ブラ・産褥パッド・洗面用品・充電器・軽食をまとめておく。
- 赤ちゃんの準備:ベビーベッドまたはベビー布団(安全な睡眠環境)・肌着・おくるみ・おむつ(新生児サイズ&Sサイズ)・ウェットティッシュ。
- 産褥期の準備:産後の自分のケア用品(産褥パッド・温水洗浄器・授乳クッション)、里帰りや家族のサポート体制、産後ケア施設や助産院の情報収集。
- 出産育児一時金の手続き:現在50万円(産科医療補償制度加入施設)。直接支払制度を利用すると窓口での支払いが軽減されます。勤務先・健保組合への届け出も確認しましょう。
- 小児科を選ぶ:生後1ヶ月健診を受ける小児科・小児科クリニックを事前に決めておきましょう。
妊娠37週のよくある質問
妊娠37週は「正期産」ですか?
いいえ。日本産科婦人科学会および国際基準(ACOG)では、妊娠37週は「早期正期産(early term)」に分類されます。正期産(full term)は妊娠39週0日〜40週6日です。37週で生まれた赤ちゃんは多くが健康ですが、39週以降に生まれた赤ちゃんと比較すると呼吸障害・哺乳困難・NICUへの入院率がやや高いことが研究で示されています。医学的な適応がない限り、37〜38週の選択的分娩は推奨されません。
妊娠37週で強い骨盤の圧迫感があります。正常ですか?
はい、非常によくある症状で「児頭下降(lightening)」と呼ばれます。赤ちゃんが骨盤の中に降りてくると、横隔膜への圧迫が和らいで呼吸が楽になる一方、膀胱が強く圧迫されて頻尿がひどくなります。また骨盤内の神経が赤ちゃんの頭に圧迫されて「電撃痛(lightning crotch)」と呼ばれる鋭い痛みが走ることもあります。不快ではありますが、危険なサインではありません。初産婦では分娩の2〜4週前に起こることが多く、経産婦では陣痛が始まってから降りてくることもあります。
前駆陣痛(ブラクストンヒックス収縮)と本陣痛の違いはどう見分けますか?
前駆陣痛は不規則で、体位変換・水分補給・休息で和らぎます。本陣痛は規則的で(例:10分おき→7分おき→5分おき)、時間とともに強くなり・長くなり・間隔が縮まります。休んでも止まらず、腰から始まってお腹全体に広がる感覚があります。判断に迷ったら1時間陣痛を計り、5分間隔が続く場合や羊水が出た場合はすぐに産科に連絡してください。母子健康手帳の「分娩の兆候」ページも参考にしてください。
妊娠37週で胎動が減ってきた気がします。いつ受診すべきですか?
37週になると赤ちゃんの動きの質は変わりますが、頻度は減るべきではありません。日本産科婦人科学会では、赤ちゃんが活発な時間帯に2時間以内に10回の明確な動きを確認する「胎動カウント」を推奨しています。2時間以内に10回感じられない場合、または普段と比べて明らかに少ないと感じる場合は、その日のうちに産婦人科または産科病棟に連絡してください。胎動減少は胎児機能不全のサインであることがあります。
妊娠37週で性生活は問題ありませんか?
低リスクの妊娠であれば、基本的には問題ありません。赤ちゃんは羊水と子宮頸管粘液栓によって保護されており、体が準備できていない状態でセックスが陣痛を引き起こすことはありません。ただし、前置胎盤・早産のリスク・破水・出血がある場合や、担当医から制限を指示されている場合は控えてください。お腹の大きさで不快に感じることも多いため、横向きなど楽な体位を選びましょう。
おりものの中に塊のようなものが出ました。卵膜栓(粘液栓)ですか?
はい、可能性があります。卵膜栓(粘液栓)が剥がれると、透明・ピンク色・少し血が混じったゼリー状の分泌物として出てくることがあります(「産徴」とも呼ばれます)。これは子宮口が開く準備が始まっているサインですが、すぐに分娩が始まるわけではなく、数日〜数週間後に陣痛が来ることもあります。ただし、大量の鮮血(少量のスポッティングを超えるもの)が出た場合は、すぐに産婦人科に連絡してください。
今すぐ入院セット(入院バッグ)を準備すべきですか?
はい。妊娠37週の時点で入院セットを玄関近くに準備しておくことを強くお勧めします。陣痛はいつ始まるかわかりません。入院セットに含めるもの:母子健康手帳(必須)、健康保険証・診察券・印鑑、退院時の服・肌着(ご自身と赤ちゃん分)、授乳用ブラ・母乳パッド、洗面・衛生用品、スマートフォンと充電器、軽食・飲み物。産褥パッドは産院で支給される場合も多いですが、確認しておきましょう。出産育児一時金(現在50万円)の申請書類も事前に確認を。
妊娠37週でひどく疲れてイライラするのはなぜですか?
妊娠後期の疲労感は本物です。体重増加・頻尿による夜間の睡眠分断・ホルモン変化(エストロゲン・プロラクチンの上昇)・出産や育児への不安が複合的に重なっています。感情の波も非常に一般的です。できる限り休息を取り、周囲の助けを受け入れてください。気分の落ち込みや強い不安が続く場合は、担当の産婦人科医や助産師に遠慮なく相談してください。産前うつ・産前不安は適切なサポートで改善できます。
GBSスクリーニング(B群溶連菌検査)とはどのような検査ですか?
B群溶連菌(GBS)は成人の約20〜30%の腟・直腸に常在する細菌で、本人に害はありませんが、分娩時に赤ちゃんに感染すると新生児敗血症・髄膜炎などを引き起こすことがあります。厚生労働省の産婦人科診療ガイドラインでは、妊娠35〜37週頃に腟・肛門周囲のスワブ検査を行うことを推奨しています。陽性の場合は分娩中に点滴で抗菌薬を投与し、赤ちゃんへの感染を防ぎます。まだ検査を受けていない方は次の妊婦健診で担当医に確認してください。
妊娠37週で陣痛を自然に誘発する方法はありますか?
日本産科婦人科学会を含む医療機関は、医学的適応のない37〜38週の分娩誘発に強く反対しています。ウォーキング・マタニティヨガ・バースボールなどの穏やかな活動は、体が準備できていれば分娩開始を促す可能性がありますが、科学的根拠は限られています。ひまし油・未検証のサプリメント・過激なニップルスティミュレーションは過強陣痛を引き起こす可能性があり、避けてください。焦らず、赤ちゃんが準備できるのを待つことが最善です。何か試す前に必ず担当医・助産師に相談してください。
公開日:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、専門的な医学的助言に代わるものではありません。お子さまについては必ず小児科医にご相談ください。
出典:WHO・CDC・AAP・NHS。推奨は国によって異なります。日本については日本産科婦人科学会をご確認ください。
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